《ミニチュア写真日記》洋裁店の物語
先日の
ミニチュア村の洋裁店の(妄想)物語
男の足は
先日初めて知った
洋裁店の前にさしかかった
外観から
自分には場違いな店とはわかっていたが
なぜか気にかかる
ショーウィンドウ越しにのぞいて見ると
初老の女性がひとり働いていた
作業台に水色の布を広げ
アイロンを縦横に滑らせる
熱したアイロンは骨董品のようで
ひどく重そうだ
一心に作業をしている姿をみると
その場を立ち去ることができなくなった
まるで
目の前の布ではない
何かに刻まれた皺にむかっているような
男の目にはそんな姿に映っていた
女主は
「よし、これでいい」
と独り言ちし
今度は裁縫箱をとり出す
引き出しには丸い老眼鏡
最近はこれが無ければ
手先が覚束なくなってきているのが
なんとも心もとないようす
裁縫箱を開けると
使い込んだ道具が入っている
ボタン
用途ごとの糸が色々
メジャー
ものさし&ルレット
針刺し&マチ針
裁ち鋏
&糸切り鋏
まだ…まだ…終わらない
指ぬき(童話にでてくるみたいな)
折り目付け…あとはもうわからない
女主は
この細かい裁縫道具の
一つ一つを手にとり
その手触りを確かめている
男はその様子を垣間見て
きっと腕の良い職人なんだろうと
想像した…
おや⁈これはなんだろう
路に面したショーウィンドウのすみに
小さな…
小さなカードが貼ってあるのに
気が付いた
まるで気づかれたく無いかのように
ひっそりとそこにあった
1枚目には
『記憶のほころび繕います』
2枚目は
『思い出の破れた穴を補修します』
と書いてある
それは何とも不思議な文言だった
つづく


















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