《ミニチュア写真日記》洋裁店の物語*最終回
放置していた洋裁店の物語
それでは終わりにいたしましょうか…
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不思議なことが起こる洋裁店
ショウウィンドウのカードの言葉は
見る人によって違う…
男には
『記憶のほころび繕います』
『思い出の破れた穴を補修します』
また別の者には
『あなたの叶わなかった想いを届けます』と
そして女店主には
『あなたの記憶を昇華します』とあった
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ここミニチュア村では
朝晩は冷え込み
暖炉の火が恋しい季節となった
(クッションも毛糸仕立て)
今作業しているのは
あの男が依頼主の
毛糸の帽子
虫食い穴があき
毛糸のボンボンは取れかかり
なんとも無残な状態だったが
ほころびを繕い
穴を補修し
今ようやく
頭頂部にボンボンを付け終わり
完成した
女店主は老眼鏡を外し
安堵感から
そっと眼がしらを抑える
この毛糸の帽子の由来は
男から聞いてはいない
ある日
依頼したい物があったと
子ども用の赤い毛糸の帽子を
黙って置いていった
子どもの頃の男自身の帽子
だったのだろうか…
それとも
男には子どもがいて
その子の帽子だったのだろうか…
(北欧食器のカップ)
そんな事をちらりと思ったが
男の破れた心の穴から
こぼれ落ちていった想いが繕えたなら
それで良いことであった…
女店主はまた
自分自身のための編み物をはじめる
やり切れぬ苦しみが
糸にからめとられ編み込まれて
消えていった…
この毛糸玉は減ることはない
記憶が昇華できる
その時まで
※ひとりごと
中途半端に放置していたので終わってスッキリした
スッキリ───ヽ(*´∀`*)ノ───!!
自分は乖離障害を患ったことがある
(この言い方が良いかはわからないが)
いわゆる一般的な普通の人だったら
絶対に忘れられないような出来事を
すっかり忘れてしまうのである
周りの者の決まり文句は
「エッ!覚えてないの」
「自分だったら忘れたくても
絶対に忘れられない」等
奇異な目を向けられることになる…
(この告白がテーマではないので詳細は省く)
しかし何かがきっかけとなり
記憶がよみがえる
「玉ねぎを剝くように」と言う言葉があるが
まさに言い得て妙
思い出した記憶がまた別の記憶を引き寄せ
さらにまた別の記憶を読んでくる
この時の
波が押し寄せてくるような恐怖は
すざまじいものだった
洋裁店の店主は
自分の物語でもある…








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