人生後半の『ほぼ写真日記』

笹の葉8の日々散歩とひとりごと

天上の笛

~誰にも迷惑をかけない『妄想散歩』のすすめ⑥~


鎌倉時代後期の設定でお願いします。(←随分こまかいな)


男の生業は笛師であった。
笛の材を求めて、いつものように山に分け入り、ひと仕事を終え、湧き出る水で喉を潤した。


ふと、顔を上げると、一筋の道に気づく。
「こんな所に道があっただろうか…。」



男は、自分がこの辺りを知らないはずはないと思ったが、


しかし、頭の片隅で、
「もしかしたら、自分の知らない道があるのかもしれない」と、己に言い聞かせるように、歩を進めた。


程なくして、木々の間に屋敷が見えてきた。



庭には、この世のものとは思われぬ、白い大輪の花が、芳香を放って咲き乱れている。

しばらくすると、案内の者が現れ、

「お待ちしておりました、どうぞこちらへ。」と、男の来訪を予感したかのように、屋敷へいざなうではないか。


そこには、咲き乱れる花に見まごうばかりの美しい女がいた。



女は唐突に、
「笛を作って下され。」と言う。


男は、断る気にはとてもなれない、己の心をいぶかりながらも、
そこに留まり、笛を作ることになったのであった。


ここは、穏やかに時がながれ、なぜか懐かしく、いつまでも留まりたい気持ちになっていった。


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そうこうするうちに、男は笛を造りあげてしまった。


男「はからずも、随分長居をしてしまったなぁ」
あれから相当の月日がたったはずだ。


心に残るが、やはり戻らねばと暇を告げた。



月明りをたよりに、来た道を戻り、
来た時に喉を潤した、湧き水のところにたどり着き、男の足はふと止まった。



「おや、何か違う…」
微かな違和感が、しだいに確かなものになった。
違う記憶の扉が、ひらいたように感じた。


「自分はあの女を知っている。」
なぜ自分は気づかなかったのだろう…
悔やんでも悔やみきれない。


あれは昔、むげに都に置き捨てた女ではなかったか?


男はもと来た道をやみくもに戻った。



しかし、二度と、あの屋敷を見つけることはかなわなかった。


だが、あの日以来、
時折、どからともわからぬ彼方から、笛の音がするようになった。


男は思った、もしかしたら、自分は許されたのだろうかと…。





※ひとりごと
何かしら理由があってアップしなかった写真を、順番に並べてそれを繋ぐように強引に話を作っていて、言わば、わけあり写真の敗者復活戦(←大袈裟)
だから、ちぐはぐな感じがしたり、変な写りだったりしますが、そこはスルーしてくださるようお願い申し上げ奉りまするゥ~。